高松地方裁判所 事件番号不詳 判決
本店
香川県仲多度郡白方村大字西白方四百四十三番地ノ一
合同油脂工業株式会社
本籍並に住居
同所同番地ノ一
白方村長兼右会社代表取締役
西山庸三
明治十四年一月一日生
右両名に対する法人税法違反各被告事件について当裁判所は検事十河淸行関與審理して次のとおり判決する。
主文
被告合同油脂工業株式会社を罰金六十万円に
被告人西山庸三を懲役四月に処する。
但し被告人西山庸三に対してはこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人等の負担とする。
理由
被告合同油脂工業株式会社は前記肩書地において油脂製造、加工販売を営むもの、被告人西山庸三は右会社の代表取締役であるが昭和二十一年十月一日から同二十三年九月三十日までの事業年度の法人所得額申告に際し被告人西山庸三は右会社の業務に関し二重帳簿を作成して法人税の逋脱を為さんと企て前記事業年度の所得は金二百七万五千八百二十円であつてこれに対する法人税は金百三十一万一千八百十四円十五銭であるに拘らず右事業年度の所得は僅かに金三万四千二百十五円である旨虚僞の申告書を作成しこれを昭和二十二年十一月二十二日丸龜税務署に提出し同日右申告にかかる所得に対する法人税金一万七千五百九十五円五銭を納付し以て法人税金百二十九万四千二百十九円十銭の逋脱をしたものである。
証拠を按ずるに判示事実中被告会社が判示場所で判示事業を営むもの被告人庸三は右会社の代表取締役であること、判示事業年度の法人所得の申告に際し被告人庸三が右会社の業務に関し右事業年度の所得は金三万四千二百十五円である旨申告書を作成し判示年月日これを丸龜税務署に提出し同日右申告にかかる所得に対する法人税金一万七千五百九十五円五銭を納付したことは本件記録中の被告会社の法人税申告書(第二十七乃至三十丁)の記載及び被告人庸三の当公廷におけるこの旨の供述によつて認むべくこの余の事実は本件記録中の被告会社に対する丸龜税務署長作成にかかる法人税処理決議書第一乃至四表(記録第八、九丁及び第十五乃至十七丁)同否認調書(同第十丁)同貸借対照表(同第十一、十四丁)同損益計算書(同第十二、十三丁)同更正決定通知書の各記載、証第一乃至七号の各帳簿の存在並に伴松雄及び被告人庸三に対する検察事務官の各聽取書の記載によつて認め得るから判示事実は全部この証明十分である。
本件公訴事実に依れば被告会社の判示事業年度の所得額二百七万五千八百二十円に対する法人税は百四十九万四千八百六十九円であり被告会社は法人税百四十七万七千二百七十三円九十銭を免れたものであるとあるけれども右法人税中には法人税法第四十二條の加算税と同法第四十三條の追徴税合計十八万三千五十四円八十八銭を含み右加算税と追徴税は脱税そのものではなく脱税に対しこれに課する損害金乃至過怠金と解されるから右金額は前記法人税から除外し判示のとおり脱税額を認定する。
被告人等及び弁護人は被告会社の判示事業年度の普通所得額中には(一)原料の評価額を仕入価格に依らずして時価に依つて算定し又(二)腐敗の結果無価物となつた醫油五十石及び米糠を評価算入しているのは不当である旨弁疏するけれども右(一)の点は前段挙示の各証拠に照らし原料の評価額を仕入価格に依らず時価によつて算定したのは相当であり鑑定人諏訪邦一同中村三郞の各鑑定の結果によつては右算定方法を未だ以て不当となすに足りない。又(二)の点は証人田村茂一同伴松雄の各証言に依れば被告人等主張の右事実を認め得るかのようであるけれども右各証言はたやすくこれに信を措き難いから以上の弁疏はいづれもこれを採用しない。
法律に照すに被告人庸三の判示所為は改正前の昭和二十二年三月三十一日法律第二十八号法人税法第四十八條第一項に該当するからこの所定刑中懲役刑を選択しこの刑期範囲内で同被告人を懲役四月に処し犯情刑の執行を猶予するを相当と認め刑法第二十五條を適用しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予すべく、被告会社に対しては前記法人税法第五十一條第四十八條第一項を適用しこの所定罰金額の範囲内において同被告会社を罰金六十万円に処すべく、訴訟費用の負担については旧刑事訴訟法第二百三十七條第一項刑事訴訟法施行法第二條に則り被告人等をして全部これを負担せしむべきものとする。
仍つて主文のとおり判決する。
(裁判官 津田真)